le labyrinthe intangible 不可触の迷宮
生物学者、福岡伸一が唱える『エッジエフェクト』。それは、界面で起こる相互作用、異なる分野の出会いが生み出す、新たな世界のことを指す。生物は、自分の縄張り(生活領域)内ではなかなか進化しない、生活領域の周辺であるエッジで、他の生物と出逢い、交流してこそ進化を遂げる。それはまさに黒田アキ氏の芸術家としての本質を表す言葉として使われる、組み合わせという意味の仏語『アセンブラージュ』のことでもある。
光と影、平面と立体、日本とフランス、アナログとデジタル、バレエと舞踏…
異なる、むしろ相反する要素が組み合うことにより作り出される新たな世界。
ノイズが観客を迷宮に突き落とし、巨大なキャンバスに描かれる線が、
ダンサーの肉体が、創造の熱量の糸を練り上げる。
絡まり、絡みとられ、観客とパフォーマーの界面が曖昧になる。
そこは500平米のオープンスペースに現れるラビュラント アンタンジブル 『不可触の迷宮』。
迷宮から解放された時、あなたは知るだろう。
人はいつでも自分や他人との迷宮の中にいて、だからこそ、解放されるのも
そしてそれを自分自身で決めることができるということを。
脱皮できない蛇は滅びる。
その意見を取り替えていくことを妨げられた精神たちも同様だ。
それは精神ではなくなる。
- ニーチェ -